「ねぇ、ねぇなんで私達こんなところにいるのかなぁ?」
「なんでって、買い物して、散歩して、最後にシャルルマーニュっていつもコースじゃない」
ひかりはさも当然のように言う。
「今日はいつも通りじゃないでしょ!」
「まぁそんなに怒らない、怒らない
あっすいません注文お願いします」
「ちょ、ちょっと。私頼むもの決めてないよぉ」
だけど店員さんはやってきてしまった。そしてひかりはメニューには目もくれず注文し出す。
「私はレアチーズとコーヒーのセット。あと、この娘にはお子様セット、オレンジジュースで」
「かしこまりました。
ところで、いかにもお子様っぽい方でも、小学生以上の方はお子様セットは普通のセットと同じ価格になりますがよろしいでしょうか?」
ひかりは「しまった」って顔してる。よかった私そんなに子供っぽいわけじゃないんだ。ってあれ?
「いえいえ、この娘ちょっと大人っぽい気もしますけど、れっきとした11歳・・・・・・ねぇこだま」
「や、確かに子供っぽく見えるんですけど、目の前にいらっしゃるのは里見こだまさん17歳ですよね、ひかり先輩?」
なんと、注文を取りにきたウェイトレスさんは八重ちゃん。助けに船とはまさにこのこと。
「八重ちゃん!」
「八重樫!しまったこいつがいることを忘れてたわ」
「ところで、どうしてこだま先輩、そんないかにもって感じの格好なんです?」
「そう、それなの!ねぇ聞いてよ八重ちゃん・・・・・・」
私は八重ちゃんに泣きながら一連の悪夢を話した。
そう、結局あのお店で着せ替え人形と化した私は、黒を基調に白を加えたモノトーンで上下しっかりとまとめられていて、なぜかすっごく短いスカートに、これもどうしてかわからないけど黒のニーソックス。とどめに靴までかかとが高めの黒い靴に履き替えさせられた。
あの店員さんは実はオーナーさんで、凄くノリノリで店中からいろいろ引っ張り出してきて、私に着せてはひかりとああでもないこうでもないと話をして、今度はひかりが選んできてはまた話し合って、それが何度となく続いた。
けど私には発言権一切なし。というか二人とも盛り上がりすぎて聞こえてない。
そんなわけで、悪夢のようなやり取りが数十回は繰り返された頃、私はいわゆるゴシック風と呼ばれる服装にすっかり包まれていた。
「や、先輩にすっかりお似合いです。なにか狙ってます?」
「これならモデルとしてやっていけそうよねぇ、つばさはどう思う?」
「全く何も狙ってません!」
「や、そんな格好で一生懸命否定されても、余計にそっち系の人間の感情を引き出すだけですよ」
すっかり私の格好を肯定しちゃってるよ八重ちゃん。
「そっち系って何?」
「うーん。例えば・・・・・・桜井舞人とか」
「なんでそこで桜井君なのぉ。彼ははそんな人じゃないよぉ」
「そうだったのね。あいつにはそんな趣味が・・・・・・
もしかして今日の一件もあいつの仕組んだ巧妙なドッキリかも。もしかして店内にあいつ潜んでない?」
「ひかりまでそういうこと言う。だから桜井君はそんな人じゃないって。」
「なんだかやたらとあいつの肩持つようだけど、もしかしてこだま?」
「そんなんじゃないよぉ~」
「ま、あいつはきてませんから大丈夫ですよ先輩。何なら呼び出しましょうか?」
八重ちゃんまで私のことからかってるみたい。もう何がなんだかわからないよぉ。
「ところでこだま先輩、オーダーはお子様セットでいいんですか?」
「そうだよね、確かにお子様セットは捨てがたいけど、さすがに玩具は要らないよ。
じゃぁ、えっとぉ・・・・・・ホットケーキセット、ホットミルクで。メープルシロップはたっぷりお願いね!」
私を見つめる二人。あれ?私何か変な注文したかな。
「・・・・・・よけい子供っぽい注文してどうするんですか先輩」
「・・・・・・やっぱりあんたお子様ね。しかも捨てがたいときたもんだ」
「どうして二人ともあきれてるの?もしかしてホットケーキは駄目?」
『あたりまえでしょ』
・・・・・・二人とも見事にハモってる。
そんなにホットケーキって子供っぽいのかなぁ?
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